
【不動産登記】に関する知恵袋
【質問】
共有不動産に設定してある根抵当権について、根抵当権者と一方の設定者が根抵当権を放棄する契約をした場合、他方の設定者にとっては不利益にはなりませんか?不動産登記法上と、実体法上の二つのパターンでお答えいただければ幸いです。
【解答】
(1)「共有不動産に設定してある根抵当権について、根抵当権者・・・」1.まず、前提として、[事例1]●A・B共有の不動産に(持分1/2ずつ)●甲が根抵当権を設定し(他の担保権はなし)●A持分についての根抵当権を放棄した場合と、[事例2]●A所有の不動産とB所有の不動産に●債務者はA●甲が純粋共同根抵当権を設定し●A所有の不動産についての根抵当権を放棄した場合を例に、順に検討していきます。(2)「他方の設定者にとっては不利益にはなりませんか・・・」1.[事例1]について、不動産登記の知恵袋であれば、Bにとって不利益になるのではないかということですが、結論からいえば不登法上も実体法上も実質的に見れば不利益になる可能性はあるが甲のA持分に対する根抵当権の放棄を[Bの承諾]に係らせるのは妥当でないと考えます。不動産登記の知恵袋は、2.この問題を考えるには、[不動産の価額]と[被担保債権額(本件では根抵当権なので極度額)]との関係が、①後者が前者を上回る場合(不動産の価額800万円、被担保債権額1000万円)②前者が後者を上回る場合(不動産の価額1000万円、被担保債権額800万円)に分けてみてみると、3.①の場合は、不動産の価額で被担保債権額をまかなえないわけですから、Bが不利益を被るとはいえません。4.②の場合は、仮に根抵当権が実行され甲に配当がなされても、[差額(配当後なお余ったお金200万円)]というものが生じ、これが[A・B]に戻ってくるので、Bとしては『A持分の根抵当権の放棄がなければ、少なくとも100万円は戻ってきたかもしれない』という利益が害されると見ることもできます。5.しかし、似たような[事例2]の場合で『Bの承諾は不要』との考え方が定着しており、その理由として担保物権の不可分性があげられています。6.たしかに、[事例1]の場合でも①のような場合であれば不可分性を理由にすることはできますが、②のような場合も含めて一緒くたに不可分性を理由にすることには無理があるような気もします。7.以上をふまえて考えてみると、[事例1の①や②]の[被担保債権]は、いつの時点を基準にするのかという問題があり、特に根抵当権の場合[極度額]を基準にするのか、[確定時の被担保債権]を基準にするのか、[根抵当権実行時の被担保債権]を基準にするのかによっては結論が異なる場合が出てくるであろうし、仕事の専門学校を分解していくと、後順位担保権者があらわれればその[被担保債権額]をも考慮しなければならなくなり、そうなると[事例1の②]の[Bの利益]とは『[もしかしたら]の利益』であって、特に[根抵当権の実行時]を基準にする場合は、仕事の専門学校をいうと、配当の段階に至るまで[事例1の②]のような[Bの利益]があるかどうかは、甲がA持分に対する根抵当権の放棄をする時点では証明することは不可能です。また、[事例1の②]の[Bの利益]が、甲の根抵当権が、実はまずB持分に設定され、次いでA持分に設定されたことにより生じたものであったとか、A・B共有の不動産に根抵当権が設定された後に追加担保としてC所有の不動産に(純粋共同)根抵当権が設定されたことにより生じたとかいう場合、このような[Bの利益]は、甲の目的(被担保債権の満足や危険の分散)とは全く関係のない偶然の産物であって、甲を拘束する理由に乏しいといえます。8.したがって、これらを理由に甲のA持分に対する自らの根抵当権の放棄を『Bの承諾』に係らせるのは妥当でないと考えられます。